一つのゴール、一つのスタート
75になりました。
6年かかりました。6年ですってよ奥様。
長かった。本当に、長かったです。
ここまでアタシを育ててくれた全ての皆様に、心から感謝!
2度の挫折を味わいました。でも、その全てが「FF11ツマンナイ」じゃなかった。アタシの環境がFF11を続けることを許してくれなかった。だから、いつも心残りでした。いつかは75になって、野山を駆け巡りたい。その思いはたぶん叶わないだろうな、そう思ってました。
今、アタシはプンカール浦の前に立っています。必死にカンパニエしてフルコンプしたラム装備と、なけなしのお金で買ったバイヤールソードと、一度も外したことがない、愛すべき真っ白なリンクパールを耳につけながら。
75になった日。アタシは、もう一つ、大事にしまっておいた赤いリンクパールを倉庫から取り出して、プンカール浦の水辺に向かって投げました。
アタシが初めて手にしたリンクパール。思い出がたくさんつまったリンクパール。そして、いつの間にか知らない人のLSMSGログだけが残った、誰もつけることのないパール。
太陽の日差しに照らされて光る赤いパールが、放物線を描きながら浦の水面に吸い込まれていきます。
アタシが2回目の挫折を経て復活を果たしたとき、ひそかに心に決めていたことがありました。それは、アタシが75になったら、この赤いパールと/goodbyeしよう、ということ。
それは、大事な大事な思い出を捨てること。でも、いつまでも思い出にすがってはいられません。
アタシは今のヴァナ・ディールを生きているんだ。アタシは今もLSに残っているみんなと、最後の最後まで楽しくやっていくんだ。そのためにも、アタシが一人前になって、ヴァナで自立できるようになったら、あの思い出と/goodbyeしよう。そう、決めていたのです。
そして、その時が、この日でした。
過去に置き去りにされたこの世界に立ち、赤いパールが沼の奥深く沈んでいくのを見ながら、アタシは声を上げて泣きました。
これは決別の涙。これは後悔の涙。そして、これは、新しいスタートを切るための、涙なのだ。
そう心に言葉を叩き込みながら、アタシはカンパニエのBGMを耳にしたのです。
アタシの新しいスタートは、やっぱりカンパニエでした。
涙をぬぐいながら、アタシはアライアンスタグを受けるために駆け出していきました。
アタシには、やることがまだまだたくさんあります。
この世…ヴァナ・ディールが消滅するその日まで、アタシはこの世界で生きていきます。
去っていった友のためにも、今も野山を駆けている友のためにも、そして、アタシ自身のためにも。
アタシには、紡ぐべき「絆」が、まだまだたくさんあるのだから。